ホーム > ブログ > 市場・業界について > ZEB実現に向けて―ゼロ・エネルギー・ビルに対する取り組み

ZEB実現に向けて―ゼロ・エネルギー・ビルに対する取り組み

ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の実現に向けて、世界ではどのような取り組みを進めているのでしょうか。エネルギー消費の推移を見ながら、ZEBに対する海外の政策と日本のビジョン、政府と国内大手による取り組みについてご紹介します。

エネルギー消費の推移

まず、国内のエネルギー消費はどのような動向を見せているのでしょうか。

資源エネルギー庁が公開しているエネルギー白書2017(PDF)によると、1973年に比べ2015年では国内最終エネルギー消費は1.2倍になっていることが分かります。分野別に見ると、運輸部門が1.7倍、家庭部門が1.9倍になっているほか、特に業務他部門は2.4倍と消費量が増大しています。

業務他部門と産業部門とを合わせた企業・事業所他部門として見たとき、1973年から2015年では1.0倍にとどまっています。しかし、2015年度において全体に占める割合は60%以上と大きく、省エネ対策の余地が大きい部分として注目されています。

ZEB実現に向けて

このような背景を受け、企業・事業所における消費エネルギー削減のための考え方として提言されているのがZEBです。ZEBとは、省エネについての各種対策を組み合わせ、建物に使うエネルギーを自給自足し、ほかからのエネルギー消費を限りなくゼロにするという考え方、またはその建物のことを言います。

ZEBでは、建物を運用していくときに消費するエネルギーを、建築構造の見直し、省エネ、再生可能エネルギーの活用などによって削減していくことを目標としています。

2008年、洞爺湖サミットにおいてIEAによって取り組みの加速を勧告されたことにより、世界的に注目されるようになりました。

海外のZEBに関する政策目標

ZEBは諸外国で取り組みが活発化しています。

イギリスでは、2016年までに新築住宅・新築の学校をゼロカーボン化することを2008年に発表しました。2018年までには新築の公共施設を、2019年までには、すべての新築非住宅建設物をゼロカーボン化すると、ZEBに向けた大きな目標を掲げています。また省エネ性能の評価制度として、7段階のラベルによる性能表示を義務化、2006年から施行されています。

一方アメリカでも、ZEBに対する取り組みは進んでいます。
2007年、エネルギー自立安全保障法を制定し、「Net-Zero Energy Commercial Buildings Initiative」を規定。このなかでは、2030年、2040年、2050年と三段階に分け、ZEB実現のための技術や慣行、製作を開発・普及することを目標としています。またアメリカでも省エネ評価によるラベリング制度「エナジースター」を設けています。これは、エネルギー消費原単位において、アメリカ国内トップ25%にランクインしたビルに与えられるものです。

日本のZEB化に向けた新ビジョン

日本でも、ZEB化に向けた新たなビジョンが2011年に発表されています。

資源エネルギー庁の作成した資料(PDF)では、中期目標として、1990年の温室効果ガスに対して2020年までに25%の削減を提言。日本の技術力を考慮した場合、2030年までに新築建築物のZEB化も可能であるとしています。

前述の通り、業務部門におけるエネルギー消費量は1973年から2015年の間に2.4倍に膨らみました。しかしこのZEB化の中期目標が2030年に実現した場合、業務部門のエネルギー消費量を2011年に対し半減できると試算しています。

国内大手によるZEB取り組み事例

こうした動きに合わせ、国内大手企業もZEBに関する方針を打ち出し、すでに取り組みを始めています。

建設大手によるZEB

建物に関するイノベーションということもあり、建設大手もZEBに取り組んでいます。

エコ・デザイン、エコ・ワークスタイル、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギーを4つの柱としてZEB実現に取り組んでいるのが、鹿島建設です。国の掲げた2030年という目標に対し、10年先駆けて2020年までにZEBの実現を果たすことを目標に掲げています。

竹中工務店も2020年のZEB実現を目標に、既存のオフィスビルを使いながらZEB化するという、ZEBの普及についてより現実的で踏み込んだ内容の課題に挑戦しています。

大成建設では「都市型ZEB ®」を掲げ、特にエネルギー消費の大きい都市においてのZEB実現を目指しています。また、都市部のビルに特に着目し、それらをどうゼロ・エネルギーにしていくかという課題に取り組んでいます。

電機大手によるZEB

一方で、エネルギー、電気に関わることでもあるZEBには、国内の電機大手も取り組みを行っています

パナソニックでは、ZEB実現に向けて省エネルギー、エネルギー自立の2つの観点に着目。センサーやタイマーによりLED照明と高効率空調設備を制御、快適性と両立させながら省エネ実現を目指しています。また、太陽光発電と自社の得意とするリチウムイオン蓄電池の技術を融合させ、エネルギー自立の実現に向けた取り組みを進めています。

三菱電機は、ZEBコンサルティングを行うZEBプランナーとして、ZEB実現を目指す事業者やビルオーナーへの支援を行っています。高効率な設備、センシングと連携制御、ワンストップ対応の保守サービスをZEB実現に向けたシナジーとして捉え、先進技術を結集してZEB実現に取り組んでいます。

ZEB実現に向けて

ゼロ・エネルギー・ビル、ZEBについてご紹介しました。経済産業省がZEB実現の目標として掲げるのは2030年です。日本政府と国内大手だけではなく、世界全体の取り組みとして、ゼロ・エネルギー・ビルを実現する社会が望まれています。